カンボジア中部にあるコンポントム州ニーペック村。この村に住むスン・ジェさんは現在32歳。農業を営みながら、2人の子どもを育てています。
「字が読めないので、農業以外の仕事ができません。今は家の畑で農業をやっていますが、家計が苦しいので、夫はタイに出稼ぎに行っていて、半年に一度くらい、帰ってきます。今からでも、字を読めるようになりたい。そうすれば他の仕事もできるようになって、暮らしが楽になるはず」。
スン・ジェさんはそう語ります。
彼女が生まれた1982年は、カンボジア内戦の真っただ中。
1975年から1979年まで続いたクメール・ルージュ(カンボジア共産党)のポル・ポト政権により、義務教育制度が廃止され、教師など知識人を始めとする200万人以上が命を落とした直後であり、子どもたちは基礎教育すら受けることが出来ませんでした。1979年、内戦が続く中、義務教育制度は復活しましたが、その時すでに字の読める人が国内にほとんどおらず、カンボジアの教育は危機的な状況にありました。
中でも、内戦時にクメール・ルージュが拠点としていたカンボジア中部・北西部の村々では復興が遅れ、今でも識字率の低い地域となっています。シャンティ国際ボランティア会が2012年に行った独自調査では、ニーペック村の住民の78%が、「読み書きが出来ないことで不便や不安を感じる」と答えました。スン・ジェさんも小学校には通いましたが、今でも読み書きはほとんど出来ません。
スン・ジェさんのように、子どもの頃、十分な教育を受けることが出来なかった大人たちのため、ユニクロはClothes for Smiles*の一つ、図書館プロジェクトとして、子供向けの学校図書館に加え、3つのコミュニティ図書館をつくっています。その1つ、ニーペック村のコミュニティ図書館がついに完成しました! 図書館は住民の人たちによって運営され、本の貸し出しの他、読み書きや計算などを学ぶ場となる予定です。スン・ジェさんは、コミュニティ図書館に通い、読み書きを習うのを楽しみにしています。
大人が読み書きを習い、教育の重要性・可能性を理解することは、子どもに教育を受けさせる上でもとても重要だと考えます。ユニクロは子どもへの直接的な支援だけでなく、子どもの親、周りの環境にも働きかけることで、子どもの夢と未来を応援していきます。
*Clothes for Smilesはテニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチ氏とユニクロが共同発案した、世界中の子どもたちの夢と未来を応援するプロジェクトです。
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